水路を走る船による波の生成の研究


静かな水面を船が航行するとき,斜め後ろに波が作られるのはよく知られた現象であり, この波はship waveと呼ばれる.この波は,両側に壁のある浅い水路中を船が動くときには 興味深い振る舞いを示す.すなわち,船の速さが波の伝搬速度よりずっと大きいときには, 船の斜め後方に波が作られて水路壁で反射する(下の図1参照)のだが、船の速さが波の伝搬速度に 近いときには,下の図2のように,水路壁に垂直な平面波が船の前端部分に作られてその振幅が 増大していき,ある振幅になると船より前方に放出される.さらに,この平面波の生成と放出は 周期的に繰り返される.

fig1

図1 右へ進む船(楕円で示してある)によって作られる波.船の速さは波の伝搬速度の1.5倍.
赤い部分は水面が高く,青い部分は水面が低い.船の斜めうしろに作られた波が水路壁で反射している.

fig2

図2 図1と同様な船によって作られる波であるが,船の速さは波の伝搬速度と等しい. 水路壁に垂直な平面波が次々と前方に放出される.