回転する楕円渦まわりの流体のカオス的運動


線形シアをもつ非粘性流体の流れの中にある一定渦度の楕円渦は,シアが弱ければ,長軸と短軸の比を変化させながら周期的な回転運動を行う. このときの楕円渦のまわりの速度場は時間とともに周期的に変動する規則的なものであるが, その中での流体の運動は上図に示すように複雑で不規則になり得る. 図は,楕円渦のまわりのいくつかの初期点から出発した流体粒子(流体の微小部分)の, 渦回転の1周期ごとの位置を示したポアンカレプロットであり, 初期点ごとに色を変えて表示してある(このポアンカレプロットの時刻においては,楕円渦は図の中央部の白く抜けた楕円形領域にある). 流体粒子は,その初期位置に応じて,規則的に動いたり,渦のまわりをカオス的に動いたり,あるいは遠方へ飛び去ったりする. この流体粒子のカオス的運動は,ラグランジアンカオスの1つの例である.

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関係論文:
[1] A.Kawakami and M.Funakoshi,"Chaotic Motion of Fluid Particles around a Rotating Elliptic Vortex in a Linear Shear Flow", Fluid Dynamics Research, vol.25,(1999), pp.167-193