流体中の非線形の波に関する研究


海や池で見られる水面波をはじめとする波動は,流体中に普遍的に存在する運動モードである. この波は,海底地震による津波,船が走ることによって作られる波(ship wave),山の風下側に見られる大気中の波(山岳波), 地震による石油タンク内の波など,さまざまな原因によって作り出され,いろいろな波の間の相互作用を通して複雑な時間発展をする. これらの波の挙動の中には線形理論で説明できないものも多く,それらは非線形の方程式に基づいて調べられ非線形波動と呼ばれている.

本分野では,流体力学の基礎理論, ソリトン等の非線形波動に関する理論, 特異摂動論などを用いた解析,及び計算機シミュレーションによって,流体中の非線形波動に関する研究を行っている. 具体的には,流体を入れた容器の加振や流体中の物体の運動などの外力によって励起される 水面波のカオスに関する研究, 励起された波の空間パターンを調べるパターン形成に関する研究, 平らでない底面の上を流れる流体における波の生成の研究, 水路を走る船による波の生成の研究,波の相互作用に伴う複雑挙動についての研究,などを行っている.


参考文献:
[1] 船越満明,「水面波の生成における非線形現象-カオス,ソリトン,共鳴現象--」"乱れと波の非線形現象" (井上良紀・木谷 勝 編) 第2章,(朝倉書店, 1993 )
[2] 船越満明 and 及川正行,「成層流体中の非線形波動」日本流体力学会誌 ながれ, 第8巻,第4号,(1989) pp.311-335


本研究についての問い合わせは,下記のアドレスへ.

郵便番号:606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻

船越 満明

電子メールアドレス:mitsu@acs.i.kyoto-u.ac.jp